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きめ細やかで先進的な取り組みで生徒の可能性を引き出す。

加藤: 玉木先生、本日はよろしくお願いします。

玉木: こちらこそよろしくお願いします。

加藤: まず、最近では新しい取り組みをなされているようで。

玉木: 今までも対話型授業や他流試合など色々取り組んできたのですが、最近ではICTに力を入れています。

加藤: 具体的にはどのようなことをされているのでしょうか。

玉木: 対話型授業や他流試合などは、生徒本人の経験値をアップさせることには良いのですが、これからはその結果よりプロセスが重視されるようになります。2020年の大学入試改革においても、e-Portfolioなどを活用する大学も増えてくることになります。ですから具体的に言うと、来年度から中3生からはノートPCを一人1台購入していただいて(学校で一括購入)それを活用していくようになります。今でもipadを使った授業をしているのですが、e-Portfolioに入力するにはやはりタブレットでは時間がかかってしまうので、ノートPCをご購入いただくことになります。

加藤: 進んでいますね。

玉木: すでに昨年12月からクラウドサービスのアカウントを高3生を除く全生徒に配布しております。ペーパーレス化の一環として、ご家庭への連絡や生徒の提出物のやりとりなどもクラウド上で行うことを始めています。提出物などはそれを教師がネットで確認するようになっています。

加藤: すごいですね。このような取り組みをされている女子校って他にあまりないんじゃないですか。

玉木: そうですね、女子校の中では進んでいる方だと思います。

加藤: 学校の中でそういったことが得意な先生が多いのでしょうか? 

玉木: 先生方の年齢が若いんですよ。ですから割と対応が早くできるんですよね。現在の教師の平均年齢が35才を切っていますから。さすがに50代、60代の先生は苦労していますが(笑)

加藤: さて、続きまして今年の入試についてお伺いしたいのですが、今年は応募者数、受験者数とも大きく増えていますね。

玉木: はい、秋のいわゆる四大模試の状況などを見ると、軒並み志願者数が減っていたのでどうなることかと思っていたのですが、結果的に応募者数・受験者数とも合計で100人以上増えていました。

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加藤: 最近ではいわゆる「女子校不人気」という風潮が続いているのですが、そういった中で洗足学園中学校が人気を集めている理由は何なのでしょうか。これは玉木先生の個人的な意見で構わないのですが。

玉木: やはり2020年の大学入試改革がまだ不透明な部分が大きいのではないでしょうか。今年も大学附属校は人気を集めていましたし。私どもは改革校として先ほどのICTの話も含め、常に新しいことに取り組んでいます。そこが大学入試改革においても十分対応出来るのではと期待されているのではないでしょうか。特に他の女子校ではそこの部分が見えない学校が多いと思います。実は女子校でも改革校と呼ばれる学校、例えば豊島岡女子、吉祥女子、鷗友学園なども今年は受験者数を伸ばしています。やはり受験生・保護者の方に見えるような形でアピール出来たのが良かったのではないでしょうか。

加藤: 競合する学校としてはどのような学校がありますか。

玉木: 意外と共学校を併願する生徒は少ないですね。上位併願ではやはり御三家が多いです。共学校では渋谷渋谷、広尾学園などですね。洗足をチャレンジ校と考えているご家庭では共学校も増えてきます。多いところでは中大横浜、都市大等々力とかですね。女子校だと田園調布学園などが多いです。

加藤: 地域的に三田国際学園などはどうなんでしょうか。難易度がかなり上がっていますけれど。

玉木: そうですね、まだそれほどの影響は出ていません。どちらかというと東京農大一との併願の方が多いですね。

加藤: 公立中高一貫校はどうですか。

玉木: 抜きつ抜かれつつというところですかね(笑)。やはり小石川には抜かれることが多いです。桜修館はさほどでもないです。今年は意外と南附中との併願が多かったですね。

加藤: 次は実際の授業の話をお伺いしたいと思います。洗足学園中では65分授業というのを実践していますが、実際に授業時間を65分にしたことでどのようなメリットがありましたか。

玉木: やはり65分授業だと、ディベート・ディスカッション系の授業がとてもやりやすくなりました。また、低学年でいえば理科の実験授業、数学の体験型授業などをスムースに進めています。授業を15分延ばしただけですが、非常に効果は上がっています。

加藤: 生徒たちは特に問題なく授業に入りこめているのでしょうか。

玉木: 生徒たちは見ている限りでは全く問題ないですね。

加藤: 補習とか宿題とかは多い方でしょうか。

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玉木: そうですね、中1、2の間は多いです。ただ、中3以上になると学校の宿題に頼っているようでは駄目なんですよ。時期を追って段々宿題の量を減らし、自分で課題を見つけさせて家庭で学習させるように指導しています。そして補習も2通りありまして、まず1つ目は、通常の定期テスト以外に小テストというのがありまして、そこで点数が8割以下ですと再試験になります。それを合格するまで続けます。何回も落ち続ける生徒は強制的に補習にご招待(笑)することになります。2つ目は学期ごとの成績が出ますので、5段階評価の3以下の生徒を対象にして、任意で土曜日の午後にOGが補習をするOG講座というのがあります。

加藤: その補習で部活が制限されるようなことはあるのでしょうか。

玉木: いえ、それはありません。ただ、放課後に再試験があるような場合は、再試験を終えてから少し遅れて部活に参加することになります。

加藤: 次に大学進学状況をお伺いしたいのですが、今年の結果はまだまとまっていないでしょうけれど、現時点(3月2日)ではどんな感じでしょうか。

玉木: そうですね、早慶あたりは順調に結果が出てます。あとは10日の東大発表がどうなるかですね。(笑)

加藤: 文系・理系の比率はどうなっているのでしょうか。

玉木: もちろん年によって異なりますが、今年はほぼ1:1でした。最近では理系の中でも医学部、薬学部を目指す生徒が増えてきました。以前は看護学部なども多かったのですが最近そちらは減っています。医学部を目指す生徒は浪人も辞さないという感じの生徒も多いので、最近は浪人生が増えてきました。

加藤: それは一流校の仲間入りという証でもありますね。

玉木: そうですね、男子のトップ校と同じような感じになりつつあります。ただ、やはり女子校ですので現役合格に拘る生徒も多く、医学部とか東大に固執しなければ、私大トップに現役で進学されるケースが多いです。

加藤: 洗足学園中での特徴的なこととして、海外大学に進学される方が他の学校に比べて多いと思うのですが、今年はどんな状況なんでしょうか。

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玉木: 今年もすでに早期試験として、5~6人合格者を出しています。

加藤: それは帰国生が多いのでしょうか。

玉木: いや、一般生と帰国生が半々ですね。

加藤: そういった生徒は国内大学も受験されるのですか。


玉木: そうですね、ほとんどが国内大学も受験します。やはり4月から9月まで間が空いてしまいますので、一旦国内大学に進学し、10月から海外大学に行くケースが多いです。

加藤: これは個人的な興味でお聞きしますが、海外大学に進学された方は、卒業後どうされるのでしょうか。そのまま海外に残るのか、日本に戻るのか。

玉木: いろいろですね。そのまま海外に残られる生徒もいます。ただ、今のところは日本に戻ってくる生徒の方が多いです。

加藤: これも個人的な興味でお聞きしますが、日本に戻ってくる生徒は、その後、就職とかはどうされるのでしょうか。一般的な新卒の時期と合わないと思いますが。

玉木: 基本、外資を目指す方が多いですね。グーグルやメリルリンチなど。そういった会社は実力本位ですので、入社時期はあまり関係ないと思います。

加藤: 次に部活動に関してお話を伺いたいのですが、部活動は週どれくらいやられていますか。

玉木: 週4日までですね。基本、土日はありません。もっとも大会などが土日に開かれる場合もありますので、そのときは例えば火・水・木・金だった部活日程を、その週だけ水・木・金・土に変えたりしています。

加藤: 人気の部活は何ですか。

玉木: 運動部だとダンス部、テニス部、文化部だと吹奏楽部が人気です。

加藤: 次に生徒の通学範囲をお聞きしたいのですが。

玉木: 圧倒的に多いのが横浜市の青葉区、都筑区、港北区、川崎市の宮前区、麻生区、高津区ですね。それから東京では世田谷区、大田区、目黒区です。だいたい神奈川と東京の比率が65:35といったところです。以前は新幹線で静岡から通学していた生徒もいたのですが、今は西の方では藤沢、茅ケ崎あたりまでですね。東、北の方では豊洲、東雲あたりの生徒も若干います。埼玉の生徒も若干名ですけどいますね。やはり学校周辺から通学される生徒が多いです。

加藤: 今回、こういったインタビューの場を設けていただいたのですが、ちょうどこのスペースの隣にカウンセリングルームがありました。生徒の心のケアとして何かされていることがありますか。

玉木: カウンセリングもセカンドオピニオンとして大事ですので、臨床心理士の方と精神科医の方がカウンセリングに来ています。また人間形成としてさまざまな取り組みもしています。例えば2011年からずっと東日本大震災の被災地の人たちとの心の触れ合いを大切にしています。この4月には大船渡に寄付をするためのチャリティーコンサートを行うことを予定していますし、先々週には被災地の女子高校生の生きざまを映画にした「うたごころ」という映画を6年続けて上映し、監督さんにも講演をしてもらったりしています。また、監督さんのつてで被災地の写真などもお借りして、写真展なども行っているんですよ。洗足学園中と言えば改革校のイメージが強く、このような活動をしているのがあまり知られていないのですが、結構やっています。

加藤: 素晴らしいですね。カウンセリングルームの使い方はどのようになっているのですか。

玉木: もちろん生徒も使いますが、最近では保護者の方が使われるケースが増えています。

加藤: 保護者の方ですか。

玉木: そうなんですよ、別に不登校の生徒の保護者でもない、普通の親御さんが、子供の反抗期に対する接し方だとか、教育相談に来られたります。

加藤: それは珍しいですね。他の学校ではあまりそのような試みはなされていないと思いますが。

玉木: 先ほども申しましたようにセカンドオピニオンとしてご利用いただいております。 

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加藤: 大変素晴らしいです。私共も安心してお勧めできる学校ですね。今日は先生、わざわざ時間を取って頂いて有難うございました。

玉木: いえいえとんでもないです。今後ともよろしくお願いします。

加藤: こちらこそ今後ともよろしくお願いします。
(2018年3月2日取材)

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